理事長あいさつ

 一般社団法人日本子ども虐待防止学会(通称JaSPCAN)は、1994年に「日本子どもの虐待防止研究会」として発足、2013年12月に法人化し、現在に至っています。毎年開催している学術集会は、2022年12月に開催のふくおか大会で28回となります。

 この学会の特徴は、多くの異なる職種の会員から構成されていること、子どもの虐待に関する学術研究と虐待防止の社会啓発活動等を両輪として目標として掲げていることです。

 JaSPCAN発足以来、子どもの虐待をめぐり、医療、保健、福祉、教育、司法、行政等それぞれの分野での取組みが一定程度進んできました。ただ、その反面、時として、「子どもや保護者の一部分を捉えるのではなく、その全体を考えること」、「子どもや家族がこれまで送ってきた、そして今後送るであろう人生全体のスパンの中での今とその将来を考えること」、「子どもの権利を守り、保護者を支援するという基本的な視点を持つこと」という事柄が十分意識されていないことがあるのではないでしょうか。また、時として、それぞれの職種や立場の違いによる課題が浮きぼりになり、その調整が難しくなっている場面もあるのではないでしょうか。

 当学会にさまざまな職種の専門家が集まっているという利点を活かし、このような課題を乗り越え、それぞれの研究や実践がさらに前に進んでいくことが重要であると思っています。この学会で、それぞれの学びをすすめ、深めていきましょう。

一般社団法人 日本子ども虐待防止学会
理事長 岩佐嘉彦