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●会場:
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6月3日(金)に、改正児童福祉法及びその他の関係法が公布されました。JaSPCANはこの評価と課題に関して、同日付で「児童福祉法等改正に関する理事長声明」を発出しましたので、ここにお知らせいたします。
 


 

児童福祉法等改正に関する理事長声明

 

平成28年6月3日
一般社団法人 日本子ども虐待防止学会
理事長 奥山 眞紀子

 本日、改正児童福祉法及びその他の関係法が公布されました。改正児童福祉法ではその理念として、第一条において子どもが権利の主体であることが明確にされ、「児童の権利に関する条約の精神」にのっとった権利保障が必要であるとされました。日本が子どもの権利条約を批准して20年以上が経つにもかかわらず、それを担保する法律が日本にできてこなかったことを考えると、今回の児童福祉法改正は、子ども福祉に限定されているとはいえ、権利の主体である子どもたちにとって画期的なことであり、かつ、非常に重要な改正であったと評価しております。

 また、今回の改正児童福祉法は今後の子ども家庭福祉の大きな流れを示しています。子どものみならず家庭を支援することの重要性、市区町村・都道府県・国の役割の明確化、基礎自治体である地域での子ども家庭支援の原則、児童相談所機能のできるだけ身近な自治体への移行、児童相談所職員の専門性の向上、子どもの安全確保と適切なアセスメントの実施という一時保護機能の明文化、児童相談所の不作為への対処を可能にする子ども福祉領域における権利擁護の新たな仕組みの設定、国連からも指摘されている家庭養護の原則とその支援の明記、社会的養護から自立していく子どもへの支援の明文化などが組み込まれ、子ども中心の制度の明確化がなされております。

 更に、法改正に加えて、「児童相談所強化プラン」によって児童相談所職員の増員が計られるための交付税措置がなされ、また衆議院、参議院での議論において、社会的養護の22歳の年度末までの養育延長のための事業の予算措置、当学会が主張してきた子どもの予防可能な全死亡事例検証制度(Child Death Review)のモデル事業化なども明言され、これらの点も大きな前進と評価しております。

 しかしながら、今回の法改正では積み残しも多く、親子分離に関する司法関与のあり方、親指導における司法の役割、子ども家庭福祉に資する特別養子縁組制度のあり方、通告制度のあり方、児童相談所の機能のあり方、子ども家庭福祉に関わる専門性の担保のあり方などの検討は附則に記載され、今後の議論がなされていくことになっております。それに加え、参議院厚生労働委員会では附帯決議として、子どもの権利擁護に係る第三者機関の設置の検討、体罰禁止に向けた懲戒権の行使のあり方に関する検討など、重要な点も指摘されました。 

今後、これらの課題を検討し、新しい理念や方向性を着実に推進し、子どもの権利擁護の基盤としていくためには、現場での実務のあり方の再検討と意識改革が必要であり、現場からフィードバックを受けつつ、さらによりよい制度に向けて検討を重ねていくことも必要です。

 一般社団法人日本子ども虐待防止学会(JaSPCAN)は、今回の児童福祉法改正の趣旨を尊重しつつ、現場での運用に資する意見や提案、状況の把握や改革に向けた調査・研究、専門家への研修や一般市民への啓発など、残された課題への提言なども含め、志を同じくする他の関係機関等と連携しながら、できうる限りの貢献をしていく所存です。

 国におかれましても、必要な省令等の整備、新しい制度の運用のあり方の提示、新たな制度検討のための調査・研究・モデル実施等はもとより、市町村における子ども家庭支援の基盤整備への十分な支援を始めとして、身近な児童相談所設置への支援とそのあり方の提示など、本法律が提示する新たな子ども家庭福祉を実現するための施策を強力に推し進めて頂くことを期待いたします。また各自治体におかれましても、本法律の趣旨を十分にくみ取って未来を担う子どもとそれを支える家族への支援が十分になされることを期待しております。

 国、地方公共団体、民間団体はもとより、すべての人々が力を合わせて、子どもの権利を守る優しい社会を構築していけることを切に願っております。

以上