次回学術集会

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●期間:
2019年12月21~22日
●会場:
神戸国際会議場
※20日に国際シンポジウムを予定

提言

PDF版

2018年7月13日

厚生労働大臣 加藤勝信 殿

要望書

一般社団法人日本子ども虐待防止学会
理事長 奥山眞紀子

 本年3月に東京都目黒区で発生した子どもの虐待死亡の事案がメディアで大きく取り上げられ、こうした悲惨な事例を予防するための対策を求める声が大きくなっています。政府は、6月15日の関係閣僚会議において、虐待死亡の再発防止に向けて取り組むことを決定しました。

 子ども虐待や虐待による死亡を予防する取り組みを国を挙げて推進しようとする動きは、本学会の活動趣旨とも合致するものであり、多いに賛同するところです。しかしながら、現在のさまざまな動きについては、疑念を呈さざるを得ないものが散見されます。

 上記の閣僚会議後の記者会見では、予防策の提示は一ヶ月程度で行うといった趣旨の発言がなされました。しかし、子どもの虐待死亡の背景には、虐待で子どもを死に至らしめるほどの深刻な問題を抱えた親や家族が存在し、さらにその背景には、複雑かつ深刻な社会問題が存在します。加えて、虐待死亡を予防できないわが国の子ども家庭福祉の重大な構造的問題もあり、一ヶ月という短期間で予防策を講じることは、不可能であるばかりか、拙速な予防策が新たな悲劇を生み出す危険性さえあると言えます。今回の死亡事例は、関係者のみならず一般市民にも強い衝撃を与え、早急な解決を求める強い声があることは承知しています。しかし、真に実効性のある予防策を立案するためには、子どもの死亡が防げなかった要因に関する詳細で徹底した検証を実施し、その検証で明らかになった問題点を改善する必要があります。

 今回の事件を受けて、「児童相談所と警察との全件情報共有」が提案され、さらに、共有された事例に警察官が介入し保護者に警告を与えることによって深刻な事態の発生を予防しようという動きが見られます。しかし、こうした全件情報共有や警察官による介入・警告という対応策に関しては、いくつかの重大な問題があると言えます。児童相談所が受けた虐待通告の情報を警察と共有することは法令上問題がないとされているようですが、児童相談所が、個々の事情を検討せず一律に警察に情報を提供することには、なお疑義が残るものと考えられます。また、警察に情報が提供されることを前提とした児童相談所への虐待通告を、関係者や一般市民、あるいは、子ども自身や親族等が積極的に行うかという問題もあります。このように、全件情報共有という制度は通告の抑止につながりかねません。なお、今回の目黒区の事件では、警察や検察が関与していましたが、子どもの死を防ぐことができませんでした。これらを考慮に入れるなら、警察への情報提供は必要な場合に限り、子どもの福祉のために効果的に行われる必要があります。そのためにも、『新しい社会的養育ビジョン』に示された通告窓口の一元化を進め、児童相談所と警察が情報を共有すべき事例を的確にスクリーニングする体制を整えることが重要です。

 虐待死亡を予防するための方策は、詳細で徹底的な事例の検証に基づいたものであるべきで、また、この検証作業は迅速かつ正確に行われる必要があります。今回のような複数の自治体に跨った事例の検証作業は、各自治体及び国が合同で行うべきです。相当の時間を要する刑事事件としての対応と並行して、子ども家庭福祉の観点からの検証作業に早急に着手すべきです。

 今回の事件では、これまでの虐待死亡事例と共通したいくつかの重要な要因が存在したことが、現在報道されている情報からも明らかです。そのうちの一つが、児童相談所の機能の問題です。従来より、児童相談所には、保護者と対立してでも子どもを守るという機能と、子どもや保護者を支援する機能という、相矛盾する役割が求められており、これが子どもの虐待死亡を防げない主要な要因となっていることが、厚生労働省の虐待死亡事例検証報告書にも繰り返し指摘されてきました。この問題点が、今回の事例においても認められるとの報道があります。こうした問題点に関して、2016年の改正児童福祉法では、児童相談所の機能を見直すという趣旨の附則がつけられました。国および厚生労働省は、虐待死亡を予防するためにもっとも重要な役割を果たすべき児童相談所の機能の構造的な問題の抜本的な改革に向けた検討を早急に開始すべきです。
以上の認識に基づき、子どもの虐待死亡の予防に向け、日本子ども虐待防止学会は以下の各点を要望します。

  1. 虐待死亡の予防策は、徹底した検証結果を踏まえたものであること
  2. 児童相談所と警察との全件情報共有という、実効性に疑問がある対応策の提案について、拙速な対応は行わないこと
  3. 今回の虐待死亡事例に関する、香川県、東京都、および国による徹底した合同検証を実施し、判明した事実や方策については、中間段階であったとしても、速やかに公表すること
  4. 上記の検証結果に基づき、虐待死亡の予防に向けた具体的で実行可能、かつ検証可能な方策を提示すること
  5. 国、特に厚生労働省は、児童相談所の機能分化および専門性強化に向けた取り組みに関する検討を早急に行うこと

 

周知の通り、JaSPCANは6月29日付で、厚生労働大臣に要望書を提出いたしました。
(http://www.jaspcan.org/proposal_urgent)。
要望書にも含まれているコールセンターの設置に関しては、任意団体Child First Lab.がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用した署名活動を行っており、JaSPCANも後援しています。
 

■「コールセンターの設置」を要望するにあたり、皆様からのオンライン署名を募集しています
 

呼びかけ団体:Child First Lab.(NPO法人申請予定)  代表:髙岡昂太
後援:一般社団法人日本子ども虐待防止学会
 

児童相談所全国共通ダイヤルが「189」に変わり、虐待の早期発見が期待される一方、従来から通告を受けている市区町村・児童相談所の体制は、十分に整わないままです。
そこで、喫緊の対応策として、都道府県や政令市ごとに通告を一元化して受理する「コールセンター」の設置を厚生労働省に要望します。
コールセンターの設置により、通告・相談の受理を確実に行い、必要な対応に結び付けていける体制を整えることを目指します。
コールセンター設置の実現には、皆様の声を少しでも多く届けることが必要不可欠です。
そこで私たちは、ソーシャル・プラットフォームの「Change.org」にて、オンライン署名を募集しています。
 
ご署名、および詳しい説明は以下のリンクをご覧ください。
https://goo.gl/xeEzo5
皆様のご理解お力添えの程、何卒宜しくお願い申し上げます。