第6回学術集会

2000年12月8日

日本子どもの虐待防止研究会
第6回学術集会 あいち大会

子どもの虐待防止あいち宣言

 1999 年度に全国の児童相談所が受理した子どもの虐待相談件数は1 万人を超え、9年前の約10 倍に達した。また、過去5 年間に報道された子どもの虐待死は563 人に及ぶ。
 本年ようやく「児童虐待の防止等に関する法律」が成立・施行され、子どもの虐待の早期発見と迅速かつ適切な保護のため、関係機関と民間団体の連携強化その他国及び地方公共団体の子どもの虐待防止に必要な体制の整備に努める責務が法に明記された。それは、本研究会を含め、子どもの虐待防止に関わる市民団体のネットワーク活動の成果が反映したものに他ならない。
 この法の下、子どもを虐待から守り、子どもと親との心身の回復と成長を援助するネットワークをさらに全国各地に広げることが緊急の課題であり、国及び地方公共団体は、そのための実効性のある支援策を策定・実施すべきである。
 他方、激増する虐待件数に対比して、児童相談所及び児童福祉施設等の人的・物的条件は余りにも遅れており、現場の職員が過重な負担を強いられている。また、虐待を受けた子どもの健康、自尊心、尊厳を育成する環境において心身の回復および社会復帰を促進することを求める子どもの権利条約39 条の趣旨から余りにもかけ離れている。国及び地方公共団体は、児童相談所及び児童福祉施設等の専門スタッフ充実を含む関係機関のよりいっそうの整備を緊急に進めるべきである。また同時に、激増する虐待件数に対処するため、被害を受けた子ども自身やその発見者、加害者自身が安心して相談することができる24 時間体制のホットラインを、市民団体との連携の下に早急に設置すべきである。
 ここに、21 世紀の子どもの未来をひらくネットワークを求め、第6 回日本子ども虐待防止研究会あいち大会において宣言する。

日本子どもの虐待防止研究会
第6回学術集会あいち大会
学術集会長 祖父江 文宏
日本子どもの虐待防止研究会
会長 小林 登