第12回学術集会

日本子ども虐待防止学会
第12回学術集会

みやぎ大会宣言

 日本子ども虐待防止学会は、子ども虐待をめぐる状況が極めて深刻な事態に至っているとの認識に基づき、子ども虐待の防止及び対応に向け、より一層の努力を行うことを宣言する。また、国及び地方公共団体には、児童虐待防止法の趣旨にのっとり、児童相談所及び児童福祉施設の体制・機能の飛躍的拡充など、社会的支援体制の整備に早急に取り組むよう強く求める。
 2000 年に制定され2004 年に改正された児童虐待防止法では、子ども虐待の発生予防から虐待発生後の保護者及び子どもの支援やケアに関する種々の役割を、国及び地方公共団体の責務と定めている。しかしながら、児童相談所への相談・通告の件数は増加をつづけ、虐待死亡事例の発生数も増加し、悲惨な事例の報道が相次いでいる。これは、とりもなおさず子ども虐待に対する社会的責務が十分には果たされていないことを明確に示している。 2004 年の児童福祉法改正により、子ども虐待に関する相談・通告窓口が市町村に拡大されたが、きわめて専門的な技能が必要とされる子ども虐待に対して、専門職等の配置が質量共に十分に確保されておらず、その拡充が必要であることは明らかである。
 さらに、虐待を受け家族から分離された子どもの養育を担う児童養護施設等の児童福祉施設においても、現体制での対応は極めて困難で、早急な児童福祉施設最低基準等の改善が必要である。 日本子ども虐待防止学会は、子ども虐待を重大な人権問題と認識し、子どもの健康で希望ある未来を育むために、社会の活力を結集して積極的に取り組んでいく。また、子ども虐待の発生予防から社会的自立支援にわたる数多くの課題に応えるべく、司法のより積極的な関与など社会的支援体制の抜本的かつ構造的改革を行い、さらに2007 年に予定されている児童虐待防止法の改正が、この現状を踏まえた実効性あるものとなることを強く要望する。

平成18年12月8日
日本子ども虐待防止学会
第12回学術集会
みやぎ大会長 相澤 宏邦
大会長代行 村松 敦子
日本子ども虐待防止学会会長
小林 美智子