第22回学術集会

日本子ども虐待防止学会
第22回学術集会 おおさか大会

大会宣言

 当学会が1994年に発足して以来、子ども虐待に関する法律や制度は急速に変化してきました。そして、本年5月27日に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」では、子どもの権利条約の精神にのっとり、子どもの権利が保障されることなどが明記されました。さらに、市町村の支援体制の整備充実、在宅養育支援の強化、親子関係再構築の支援への対応、児童相談所の体制強化、自立支援の促進など今後の子ども虐待対応制度の方向性が示されました。
 今後、この法改正の内容をもとに、現場での子どもの権利保障の充実につなげるためには、これまでの制度が機能している部分や問題となっている部分について実証的分析を行い、制度改革の実効性を高める必要があります。
 一方で、子どもや家族の支援とは何か、また虐待予防にあたるために私たちは具体的にどのような支援をなすべきかなどの基本的な視点を持つことは、制度の内容如何に関わらず普遍的な側面を持つものであり、その姿勢が改めて問われていると考えます。
この22年間、積み重ねてきた私たちの取組みの成果を活かしながら、法改正を踏まえつつ、真の意味での「支援のありかたとは何か」を追求し、本大会に集った一人一人が、以下の事項を意識して虐待防止活動を展開していくことを宣言します。

  • 子どもの安全、子どもの権利の保障を第一義と考える支援を行うこと
  • 子どもの人生全般を見通した支援を行うこと
  • 個々の子どもと家庭のニーズに合った支援を組み立てること、その際には子どもや家族が持っている力を引き出し、レジリエンスを意識した支援を行うこと
  • 連携にあたっては、それぞれの機関の専門的な役割を活かしたものとすること

 これらの支援を実現するうえで、虐待の防止や子ども及び家族の支援を行うために、国及び地方公共団体に対して、十分な予算のもと、人材の確保とその育成を着実に実行するよう強く求めます。

2016年11月25日

日本子ども虐待防止学会おおさか大会長   津崎 哲郎
一般社団法人日本子ども虐待防止学会理事長 奥山眞紀子